藤布と世屋のおばあちゃん

安田 潤 詩・曲


山の村の いろり辺で 
これが藤布だと 話すおばあちゃん
ごわごわしとるけど それがええんだ
汗ははじくし 丈夫だし 仕事には
百姓の汗まみれの 仕事には

田んぼ五反に 鈴なり親子
百姓百色の仕事せにゃならぬ
あられとぶ日の 藤こき水は
そりゃあ口に 言えん辛いけど
男も山で 炭焼き仕事

美しい絹の べべきて
しゃんしゃん手まりを つける分限者の
身分に生まれぬ 不幸せ
親をうらみ この土地うらみしたけど
やっぱり私も 藤おり娘

藤の花は 美しいけれど

あんなツルから 糸をとって
織物にしたなんて あんたらあ
思えるかえ そう言いながら おばあちゃん
手だけは休めず 静かに笑う

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