この汽車にのれ

川北亮司 詩・曲


死にいそぐ 子どものように
いらだち走る超特急
レールは悲しくうたい
心のすきまは 広がるばかり
夢を持つのが夢だといった
きみよ ぼくらと この汽車にのれ


光る海と 風さわぐ
山が近くにあったとて
足早に通りすぎりゃ
カベにかざった絵と同じ
追われる暮しがいやだといった
きみよ ぼくらと この汽車にのれ


十八の時から ふるさとはなれて
ネオンの街で暮らしてきたけれど
夜汽車の窓を飛びさる家の灯が
この頃やけに恋しいよ
行く先知らない流れ者といった
きみよ ぼくらと この汽車にのれ


ぼくらは走る汽車になり
なつかしい街の路地裏通りで
気づかなかった素顔を見つけた
終着駅は始発駅
だれでものれる駅停車
きみよ ぼくらと この汽車にのれ

SE(近くの駅のアナウンスがはいる)